<理事長あいさつ>

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理事長 船橋 寛明

 塩屋治兵衛さんは、400年後、このような曳山行事になっているとは、たぶん思われなかったでしょうね。私たちは次の世代にどのようにバトンを繋ぐのか。10年先、30年先、100年先を見据えて、私たちができることは何なのか。皆様と一緒に考えていければと思っております。
 
 昨年は、コロナ禍前の曳山巡行ができるよう進めておりましたが、粽撒きにおける制限や警備等にかかる費用の増大などがございました。また、2年連続の雨により、文化財を守ることなどから、途中での離脱や有料席での収入などの目論見外れ、もちろん、関係者の皆様にも格別のご不便や混乱も招いたことと存じます。また、今年3月に展示館の指定管理業務が契約満了を迎えることとなり、有料化に伴う計画書の提出が9月に迫るなど、昨年5月の理事長就任以来、初めての約1年でしたが、約400年にわたり、先人達が繋いでこられた伝統や文化などをどのように守り伝え、次の世代に伝承していくのかを考えさせられる1年でありました。
 
【曳山行事】
 本年10月ひいては毎年継承されていく曳山巡行は、もちろん安全、安心で厳かに素晴らしい行事としていかなければなりません。
 そのためには、この連盟が設立された意義を踏まえ、開かれた組織として、曳山町とともに、関係者の皆様と一緒に意見等を交わしながら、遂行していかなければならないと思っております。
 
【曳山展示館】
 次に、大津祭曳山をより深く知っていただく施設であるこの展示館の運営をしっかりしていかなければならないと思っております。展示内容などが無料の時と同じであるなかで、この4月から有料化となりました。指定管理料も減額になるなど、運営を大変危惧しております。今年は、大河ドラマ「光る、君へ」の放映に伴い、2階の展示を5~6月と、7~8月に「源氏山」に特別に連続してお願いし、入場者アップやリピーター確保などが図れないかと考えております。
 また、この今年に入ってから、皆様にご協力いただきながら、外国人や観光関係者、市民等を対象とした囃子体験や町家や蔵などの案内ツアーを実施させていただきました。
 展示館は、通年で運営をしておりますので、祭時だけではなく、常日頃から魅力があり、大津祭曳山を発信する施設であることが必要と考えております。このことが、ファンや理解者などを増やし、行事の発展継続に繋がっていくものと思っております。是非とも、皆様が持っておられる知識、知見や案内ノウハウなどを遺憾なき発揮いただき、時間の許す範囲で、気軽に来ていただき展示館で案内、説明、囃子等でご協力いただけないでしょうか。入場者の方々に、より深く、より熟知していただける機会になるものと確信しております。展示館が大津祭曳山の拠点としてより位置づけられ、皆さんに愛される施設に育てていただければと思います。
 
【曳山連盟】
 曳山行事の中心的な業務を担っております曳山連盟は、従来の曳山町内の者だけではなく、より開かれた運営により伝統ある大津祭曳山を守り育てるとともに、地域の活性化などに寄与する会員組織として平成16年に設立されました。
 そのためには、現在の中心の組織である曳山連盟を人的、財政的などにおいて継続して安定した基盤としていかなければなりません。大津祭曳山行事を担う組織として、次の世代にしっかりと守り繋げてまいらなくてはならないと思っております。

 昨年11月には、滋賀県文化賞の文化功労賞を受賞し、平成28年国重要無形民俗文化財指定に続けて、ユネスコ無形文化遺産登録も実現しそうです。
 大津祭曳山に関わってこられたすべての皆様に、これまでと変わらないご理解とご支援をお願いし、一緒に次の世代に素晴らしいバトンを渡していけますようよろしくお願いします。

    2024年5月吉日